研究室コラム

くらし+きかい=パートナーを得る

人の意図を推定して動く
「パートナーロボット」は、
好奇心で動き出す。

大学院 工学研究科
ロボティクス専攻
工学博士 教授 小菅 一弘

ロボット、それは人類の夢!

君はロボットの起源を知っていますか。実はロボットのコンセプト自体は、紀元前までさかのぼります。人は遥か太古の昔から、自分のように働く機械、というか仕掛けをつくりたいと思っていた…ロボットは人類の夢なんです。

そんな壮大な夢を引き継ぎ、私たちの研究室では産業界だけでなく、日常生活にも大きなインパクトを与える次世代ロボット技術の開発をめざして、ロボティクスの新しい種となる技術の研究と、それをベースにした実世界で役に立つロボット、特に人と協調するパートナーロボットの研究に取り組んでいます。

その一つが「ダンスロボット」。学校でも職場でも、パートナーには、相手の考えや思いを察知して行動する能力が求められるもの。そこで目を付けたのが「ダンスロボット」でした。社交ダンスは、男性のリードによって女性がステップを踏むのですから、まさに「相手の意図を推定して動く」研究にはぴったり。その成果は、2005年に開催された「日本国際博覧会」(愛知万博)で研究室の学生が男性パートを務め、華麗なる舞いとして披露することができました。この研究は現在も続けています。

新たなモノを創り出そう

「ダンスロボット」の他、本当にたくさんのロボットを研究し、カタチにしてきましたが、私は新しいロボットをつくろうとするたびに思うことがあります。「ロボットは必要な技術を持ち寄っただけでは決して完成させることはできない」と。また「全く新しい、あるいはより高度な要素技術が必ず必要になる」と。例えば高齢者介護のパートナーロボットづくりには、介護の現場に固有の専門的な知識がなければ、本当の意味で人の役に立つ働きはできないし、初めて知る現場のニーズに応えるには、新たな要素技術の研究開発が必要になるということです。現時点では存在しない新たなモノを創り出そうとする行為そのものが、未来のロボット開発へとつながっていくのだと思います。

私は君たちに、世界中で進むたくさんのユニークなロボット研究を紹介したいと思っています。例えばヤモリのロボットをつくることで天井にはりつき、垂直の壁を移動するメカニズムを再現した人たち、磁石で動かす目の手術用ロボットなど、挙げればきりがありません。「ロボットっておもしろそう」と思った君、その好奇心こそが、新しいロボットを生み出す原動力。素質は十分です。