研究室コラム

くらし+きかい=安全・便利

光を操る小さな機械は
さまざまな分野で
活躍しています。

大学院 工学研究科 ファインメカニクス専攻
工学博士 教授 羽根 一博

光を操る小さな機械

例えば自動車の衝突防止。これには大きく分けて3つの方式があるのですが、その1つにレーザーセンサーを使ったものがあります。光を出して前方にある障害物を検知し、それに当たった光が戻ってくるまでの時間を計測、自動的にエンジン出力を抑えてブレーキをかけるといったしくみです。また障害物がどこにあるのかを探し出す場合には、光を右左に動かして、近くに人がいればその人に反射した光が戻ってくることで、同様に自動車の動きを制御する働きにつながるわけです。

このように光の方向を変えて距離を測るためには、機械的なシステムが必要になります。そのシステムは小さい方がいいので(なぜならセンサー自体がずっと小さくなるし、高速に操作できるので装置として性能が良くなるから!)、マイクロマシンの技術で研究されているものが多いのです。

私はこのような小さい機械の技術=MEMS※の技術を光学に応用するということを行っています。いわば光を操る小さな機械をつくっているわけです。

ホログラフィも実現する!?

この自動車のセンサーと同じようなシステムは、プロジェクタにも使われています。プロジェクタには液晶とMEMS(DLP)の二つの方式がありますが、私が関係しているのはDLP方式。このDLP方式のプロジェクタは、小さなミラーを使って光を操作しています。どんなしくみかというと20ミクロン角の板の上に縦に1000個、横に1000個並べられた小さいミラーが別々に、それもものすごいスピードで動いて画像を映し出しているのです。実はミラーが一つだけという携帯型のプロジェクタも商品化されているのですが、これは近い将来、携帯電話に搭載されて見せる楽しみと見る楽しみをより広げることになりそうです。

このミラーをさらに小さくすることができれば画像の解像度がより高くなり、将来的には動くホログラフィ(立体映像)をつくりだすこともできるようになるかも知れません。実際には同じ空間にいない人が、あたかもすぐそこにいるように見えるなんて、考えただけでワクワクしますよね。それを実現するためには難しい技術が必要になると思いますが、きみにはその夢をかなえるチャンスがあります。また光の技術は必ずしも機械の分野だけで使われるものではなく、いまはさまざまな領域で使われていますから、光学の世界はこれからもっとおもしろくなっていくはずです。

*平成28年4月からこの新専攻名となる予定であり、変更する可能性があります。(専攻設置報告書提出中)

※MEMS…メムス:Micro Electro Mechanical Systems/微小電気機械システム