研究室コラム

くらし+きかい=健全

生体・環境に調和する
柔らかくてバイオな
マシンをつくっています。

大学院 工学研究科
バイオロボティクス専攻
工学博士 教授 西澤 松彦

新しい可能性と価値を生み出す

マシンと聞いて、君は硬くてツヤツヤと光り輝く、カッコいいバイクや車のようなものをイメージするかもしれません。電子部品が組み込まれた機械製品は、目がくらむような速さで進歩し、社会を便利にしてくれました。でも私の研究対象は、その硬いマシンではありません。「工学部なのに?」そうです。「工学部なのに」です。

いまからお話しする「マシン」は柔らかくて、生体システムの中で働いている細胞やタンパク質を組み合わせてつくるバイオなマシン。といっても、“組み合わせること”がなかなかに難しい。無機物で硬く、ドライで電子駆動の電気機械に対し、生命システムは同じ電気でもイオンでコントロールされ、有機物で柔らかくウエットな環境で駆動します。相違点の多いもの同士を組み合わせて、「バイオハイブリッドマシン」をつくりだし、新しい可能性と新しい価値を生み出す。それが私たちのめざすところです。

人に、自然に、溶け込むマシン

研究の一部を紹介すると、まずバイオの力を借りた計測マシンの開発があります。ゼリーの上に筋肉細胞を並べ…この並べる技術も私たち独自のものなのですが、説明は長くなるので割愛します…この筋肉細胞に電気を流すと、ゼリーは筋肉細胞と一緒に動くので、私たちの筋肉のように安定に収縮します。ここで、さらに細胞に貼りつける「コンニャク電極」を開発しました。硬い電極は収縮できませんからね。こうして「動く細胞チップ」が完成したことで、初めて運動と代謝の関係を知るための実験を、体の外で行えるようになったのです。これを使い、病気の改善方法などが見出されるようになることを期待しています。

もう一つはバイオで発電するという画期的な自己発電システムなのですが、どうやら時間が来てしまいました。オープンキャンパスでは、ぜひ私の研究室を訪ねてください。水気がある自然環境の中で、食べても大丈夫、役目を終えたら土に返る。そんな継続的に健全な環境、そして生命と一体化するようなマシンづくりで、私たちと一緒に“既存のサイエンスのパラダイムを変えよう!”(ホワイトサイズ先生※の言葉でもありますが)。

※ジョージ・M・ホワイトサイズ/アメリカの化学者。知らない人は、どんな人物か調べてみよう。