研究室コラム

くらし+きかい=クリーン

太陽熱や水素に注目!
新しいエネルギーシステムで、
私たちの暮らしをより豊かに。

大学院 工学研究科 機械機能創成専攻
工学博士 教授 湯上 浩雄

安全につくる技術

この東北大学工学部機械系で研究のベースとなるのは力学です。それを応用して、私たちの暮らしを良くしていこうというのが全研究室の考え方で、「これも機械系?」と思われるような医療やMEMS、流体や情報など、研究分野の幅の広さが機械系の特徴なのです。

そんな機械系の中で、私が専門としているのは熱力学です。環境に優しく、再生可能なエネルギー源である太陽熱や、自然エネルギーから生み出される水素などを効率良く利用できる新しいエネルギー変換システムの研究に励んでいます。なぜ「水素」なのか。それは水素が最も軽い元素だからです。私たちがエネルギーを得るために燃やしているものの一つである化石燃料は、地球が何十万年もかけてつくったものです。人類がそれをつくろうとしても、そう簡単にできるのではありません。また限りある資源だからこそ、化石になった有機物でしかつくることができない、例えば薬品や繊維などに使われるべきであるというのが私たちの考え方です。単に燃やすだけなら、簡単な分子を燃やそうと、水素に着目しました。「燃やす」ということは、酸素とくっつけるわけでが、地球上には天然の水素は存在しませんので、いかにクリーンに、安全に水素をつくるかというところが私たちの腕の見せどころとなるわけです。

100年後に残る仕事

私は、もともとは応用物理に近い分野の勉強をしていました。大学の先生になったのは、学生時代にお世話になった先生から聞いた「100年とか200年後の誰かに、自分が残した論文が読まれ、そこに記した名前を見てもらえる可能性がある仕事はそうそうない」という言葉に浪漫を感じたからです。そして30年以上前ですが東北大学に採用になり、意気揚々と仙台に赴任したのですが、4月に雪が降ったことに驚き、すぐに故郷に帰ろうと思いました(笑)。それは冗談ですが、いまは東北大学を愛していますし、もっと良い大学、もっと良い機械系になってほしいと思っています。そのために、きみが力を貸してくれたら、とてもうれしいです。