研究室コラム

くらし+きかい=スマイル

モノの摩擦に
お米とハートを加えると
最高の笑顔に出会える。

大学院 工学研究科 機械システムデザイン工学専攻
工学博士 教授 堀切川 一男

フィフティ・フィフティの美学

トライボロジーと呼ばれる摩擦、摩耗、潤滑について研究する分野が私の専門で、このフィールドで一般の方にはあまりなじみのない堅い研究を半分、あとの半分は人の生活に直接役に立つ商品づくりを行っています。堅い仕事の一例を挙げると、「摩耗形態図」の作成があります。これは複雑な摩擦現象の発生条件をひと目でわかるように地図化したもので、この提案は世界初のものとして、トライボロジーの世界で認められました。

あとの半分の商品づくりについてですが、「大学院の先生がなぜ?」と思われる方もいるでしょう。それは、私には「人間の生活に本当に役立つことを行うのが工学である」という強い思いがあるからなのです。

いいモノづくりは人を笑顔にする

これまでに地元の中小企業と共同開発した商品は47アイテムにのぼり、滑りにくいサンダルや靴、その場で回転ができる電動車いすなど、ほとんどが摩擦に関係するものです。そのきっかけになったのが「米ぬか」からつくった軽くて丈夫、硬くて低摩擦、低摩耗の材料、RB(rice bran)セラミックスの開発。山形の中小企業の社長から、米ぬかを捨てずに活用する方法はないかと相談を受けたのがその始まりでした。RBセラミックスは粉状にして自由に成形できるので、様々な生活用品に生かすことができました。ゴムと混ぜると滑りにくくなるので、滑りにくいサンダルなどに応用したわけです。この他、秀才文具パックやぐい飲み、仙台づけ丼(仙台の新名物になる予定!)といった、実はまったく摩擦とは関係がない商品も地元企業などと共同研究・開発しているんですよ。それは企業の方々と一緒にがんばっているときの充実感、商品が完成したときの達成感、そして、それを使った人が見せる「こんなモノが欲しかった!」という笑顔が最高だから続けているんです。その笑顔は、それまでギシギシとぶつかり合っていた心の中の摩擦ともいうべき苦労を消し去り、大きな満足感と、次の課題に向き合う力を与えてくれます。

皆さんには伝えたいことがまだまだたくさんあるのですが、この続きは機会を改めてお話しすることにします。また、お会いしましょう。