研究室コラム

くらし+きかい=宇宙活用!

レーザー光線で
ロケットを宇宙へ!
人類の行動領域、広がる可能性。

大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻
博士(工学) 教授 大西 直文

ロケットが社会インフラに!?

ロケットをイメージしてみてください。そう言われたら、きみも細長いロケットを思い浮かべるでしょうか。私たちがイメージするあのロケットは、化石燃料で推進力を得ています。ところで、あのロケットの9割を燃料が占めていること、ご存じでしたか。ロケットはその燃料と、燃料が入っている容器を捨てながら宇宙へと飛んでいくのです。

そこで、私たちは考えました。ロケットを「捨てるモノ」と一緒に飛ばすのではなく、ロケットの推進エネルギーを地上など、遠隔から供給してはどうかと。宇宙飛行士や人工衛星、探査機だけを乗せた軽量なロケットをつくり、そこに強いレーザーやマイクロ波の光を当てて、ロケットが飛ぶ力を生み出そうという発想です。重量が軽くなれば燃料も少なくて済みますし、コストも削減できます。光はエネルギーのかたまりなので、推進エネルギーを生み出すことができるのです。ものすごく強いレーザー光線をロケットに当ててやる。それをロケットが受け取って、空気中に衝撃波をつくり、その反力で進んでいくことができれば、宇宙空間に大きな建造物(例えば太陽光発電施設など!)をつくることも夢ではありません。航空機や鉄道、トラックのように…というのは言い過ぎですが、地球と宇宙空間を何往復もして、必要な資材を運ぶことだってできるのですから。

宇宙の「より遠く」へ

数年前、小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還して大きなニュースになりました。この「はやぶさ」が宇宙空間で移動していたエンジンが「イオンエンジン」と呼ばれるもので、プラズマを利用しています。「プラズマってなに?」という詳しい説明はここでは省略しますが、宇宙空間を移動するならプラズマを利用した推進がよいと考えられていて、私たちはこれについても研究しています。宇宙、それも深宇宙、つまりより遠くへ行くことを目的に、燃費の良い推進技術が求められているからです。その中の1つがプラズマ推進なのです。

いままで行けなかったところに行きたい。それは未知なる世界への探究心だったり、火星への移住計画のように、人類が生き延びるための星を探る目的もあるかもしれません。いずれにせよ、人類の活動領域が広がる可能性があるということです。私自身は火星への移住は遠慮しますが、「見るだけ」なら、行ってみてもいいかなと思っています。きみは、どうですか。