研究室コラム

くらし+きかい=興味津々

宇宙人なら答えを
知っているかも!?
人間は計算機で
シミュレーション、
機体形状の最適化に活用。

大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻
博士(工学) 教授 澤田 恵介

パパッと答えが出せる

コンピュータを用いて航空機まわりの空気の流れを調べ、機体の設計に役立てようというのが私たちの研究テーマです。ベースは「計算流体力学」で、この学問が1980年代くらいに登場するまで、航空機の特性を知るには「風洞試験」しか方法がなかったのです。大きなファンで人工的に風を起こし、そこに航空機の模型を入れて試験を行うこの手法は、信用できる結果を与えてくれるのですが、まず模型をつくるのに時間がかかります。さらに「家が一軒建つ」といわれるほどの費用がかかるのです。その点、コンピュータならパパッと答えを出すことができるんですね。昔は計算の精度が低く、「計算だけではダメ!」といわれた時期もありました。1980年代のスーパーコンピュータは、いまの携帯電話よりも計算速度が遅かったのですから当然です。そんな時代を経て、現在はコンピュータが弾き出す答えは、かなり信用できるものになり、その分、おもしろくなってきたというわけです。

宇宙人は知っている!?

私は東北大学に来る前、一般企業に勤務していました。その会社で航空機の風洞試験やコンピュータ・シミュレーションを担当していましたが、8年2カ月でその会社をプィッと辞め、東北大学にまいりました。この大学の機械系は、工学の枠におさまらない、さまざまな分野の知識をもつ先生が本当に多いんです。ここでたくさんの先生方と出会い、刺激を受けながら楽しく今日まで研究を続け来られたことは、とても良かったと思っています。「流体力学」は、方程式に対してきちんとした正解が出る学問ではありません。いま生きている人類は、その答えを誰一人、知らないのです。その謎めき度は「宇宙人なら、すでに答えを知っているかもね」なんていう冗談が飛び出すほどです。ですから、コンピュータで流体力学の式を解く「計算流体力学」が人類には必要です。もし、きみがコンピュータ・シミュレーションに興味津々で、さらに流体力学を学んでみたいと思うなら、ぜひこの研究室に来てみてください。一緒に「計算流体力学」の謎ときに挑戦しましょう。