機械系女子のいまと未来と。

OG × 女子在校生 座談会

企業の第一線で活躍されている東北大学機械系の卒業生をお招きして、在学していた機械系の良さから、女性が働くということについてなど、在学生と懇談。先輩たちの“いま”を教えていただきました。

幅広い研究分野があるのが “機械系”のいいところ

三輪 皆さんはいま、どんな勉強をしているの?

和田 おもに産業用ロボットの研究をしています。実際に社会で使えるものもできていて、すごく面白いです。

福田 研究は4年生になってから本格的に始まるのですが、「摩擦」の研究をしています。先生は滑らない靴や箸を開発した実績があって、「私は滑らない先生だ!」と豪語しています(笑)。

阿部 私は小さな機械と細胞の融合について研究していて、私も4年生から本格的な研究が始まります。三輪さんと鈴木さんは、どんなお仕事をしているんですか。

三輪 三菱電機で人工衛星の電気系のシステムエンジニアをしています。先日、大学に来る機会があったので、お世話になった先生と会う約束をしていたら、「ごめん、風邪ひいた」と。約束した時間を過ぎてから電話がかかってきたんです。「また三輪に怒られる」って(笑)。

和田 卒業後も先生とそんな交流ができるって、いいですね。

鈴木 それが機械系の良さでもありますね。私はトヨタ自動車の計測技術部にいます。車は海外の人が使うことを想定して、極寒の地、灼熱の地でも性能を発揮できるように、市場環境模擬装置を使って計測するのですが、その装置を開発・導入する仕事をしているんですよ。

女子が少ない機械系には手厚いサポートと助け合える環境がある

和田 私は幼稚園からずっとロボットをつくりたい!と思っていたので、大学もその基準でしか見ていなかったのですが、父が「東北大は入ってからのサポートが充実している」と。大学をいろいろ調べてくれて、それで知ったらしいです。実際、体調不良で大学を休むと、先生や職員の方が心配して電話をかけてきてくれるんです。

鈴木 この大学の女子学生や女性研究者に対するサポートの厚さは、機械系がリードしているところがありますからね。私が卒業後にこの大学のすごさを感じたのが、学生が高価な装置を普通に使わせてもらっていたということ。装置を導入する側に回ったいまなら、それらの値段が分かるので、学生時代は恵まれた環境にいたんだなと実感します。それから海外からの留学生がとても多いので、グローバルな雰囲気が在学中に味わえるのは、東北大学ならではだと思います。

三輪 本当にそうですね。私は海外の方と仕事をすることが多くて、いまもトルコの衛星をつくり、ロシアのロケットで打ち上げる…といった仕事にたずさわっていますが、異なる文化や考え方の違いを尊重したいと思う気持ちが自分の中に養われたのは、東北大の国際色豊かな環境があったからだと思います。

鈴木 私たちのときにも機械系は女子の人数が少なかったけれど、女子が少ないことで苦労したり、不安になったことはありますか。

和田 機械系の女子は、みんな仲がいいので寂しくはないです。ただ、入学したばかりのとき、男子の輪の中に入っていくのに、「エイッ!」と気合いを入れたことが一度だけありました(笑)。後輩たちは女子が増えていると聞いたので、このまま増えていけば良いですね。

三輪 女子が少なくて心配なのは、周囲で見ている人、特に保護者だけかもしれませんね。

福田 私も女子がクラスに一人になったことがあって、心細いなと思ったことはあります。でもクラスの同じサークルの男子に「わからないところを教えて!」と頼み込んで相談相手になってもらいました。困ったときに助け合うのに、男も女も関係ないです!

阿部 高校時代も男女の人数比が今と近かったからか、私も、女子の少なさは気にならないですね。

自由になる時間があるいま、たくさんの経験を積んでおこう

和田 私は大学院に進むのですが、ドクターまでいくと卒業した時は27歳か…って思うんです。

三輪 いまは考えられないかもしれないけれど、学生のうちに結婚・出産ということも「アリ」だと思いますよ。

鈴木 私もそう思います。ちなみに私の場合は学部3年で配属になった研究室で、指導に当たってくれた先輩がいまの夫です。

阿部 それはすてきですね!まだ私は将来の目標が決まっていないのですが、学部生のうちにやっておいた方がいいことってありますか。

三輪 やっておくべきことは2つだけだと思っています。1つは英語。もう1つはたくさん旅をすること。いろいろな人がいるということを知り、いろいろな場所があるということを知るだけでも、考え方の幅が広がるんですよね。学生時代は、社会人よりも自由になる時間が格段に多いのですから。

鈴木 そうですね。社会人になると、本当に1分1秒が惜しいくらいのときがありますよ。

三輪 仕事のこともあるし、いまだったら子どものこともあるし、「自分の時間なんて1カ月に何分あるの」みたいな感じです。社会人になったら必ず返すという約束で、ご両親にお金を借りてでも旅に行ってほしいなと私は思います。

周囲の理解と協力に感謝して、思いやりをもった生き方を

和田 私はいま、ある企業と共同研究をしているのですが、その方々は残業をしないとおっしゃっていました。お二人は、お子さんもいらっしゃるということですが、残業をすることもあるのですか。

三輪 私の場合は、お客様に報告する資料づくりを終わらせるために残業になる…という感じです。衛星の試験は、試験装置の稼働を一日長引かせると、大変な損失が出るんです。だから、自然に残業することになっていますが、会社が個人の能力を存分に発揮できる環境を整えてくれているというか、個人の裁量に任せてくれています。

鈴木 私の職場もそうですよ。会社の理解と協力があって、周りが心配するよりも仕事がスムーズにできています。

和田 睡眠時間はどれくらいですか。私はすぐにバテてしまうので。

鈴木 私は毎朝4時半に起きています。そのかわり夜は子どもを寝かしつけようとして横になっていると、一緒に寝てしまうんですよ。だから寝るのは9時半くらいですかね。

福田 家事とか家のことはいつやるんですか。

鈴木 早起きしてやるのですよ!

三輪 私の睡眠時間は5時間いかないくらいだと思いますが、がんばれるからがんばっちゃうだけで、体調に合わせれば良いと思いますよ。

阿部 ご主人たちの理解と協力、ご両親の協力も頼りになりますね。

鈴木 それは間違いなくそうです。

三輪 周りの同僚たちの協力もあってこそ、です。助けていただいた分を、いかにお返ししていくかが大切だと思うんですね。一番は夫だと思うのですが、自分も彼に「ありがとう」って思ってもらえることをたくさんしたいと思っています。

やりたいことが見つかったら、それを大切に育てていこう

阿部 先輩方にいろいろとお話をうかがったので、今度は将来の機械系学生に向けて、私のつたない体験からお話しします。実は私、機械系には「なんとなく来てしまった」のですが、それでも大学の数学や物理の授業についていけない、ということがなかったんです。それは、この機械系に学生をきちんと指導する環境があるからだと気づきました。だから安心して機械系に来てほしいなと。特に女子に(笑)。

福田 私の場合は、「工学部に行きたい」と話したとき、実は父に反対されたんです。理由はいろいろだったと思いますが、「私はこれがやりたい」と話すことで、父もいまでは応援してくれているんですよ。「これがやりたい」と思ったら、ぜひ機械系に来てください。満足できるまでとことん突き進むことができる。私は、それが機械系のいいところだと実感しています。

和田 ロボットというと生活を支援してくれるとか、産業用ロボットだけかと思っていたら、ここでは分子ロボットとか、新たな分野のロボットの研究が盛んに行われていて、好奇心がものすごく刺激されました。とても面白いところなので、何かをつくり出したいと思うなら、機械系はオススメです。

三輪 そうですね。機械系に来る方は、何かしらの「やりたいこと」があって飛び込んで来るのだろうと思います。その思いを大切にして、あなたにしかできない、あなたが目指す世界をつくっていってほしいと思います。応援しています。

鈴木 女性は結婚や出産、家庭と仕事の両立など、いろいろな局面に立たされることが多いと思います。その時に、自分の足で立ち、歩くことができるように、自分が大切にしている「これはやりたいな」と思っているものを大切に育てていってください。

和田 今日は本当に勉強になりました。ありがとうございました。

Profile

三輪 章子さん
三輪 章子さん
三菱電機株式会社鎌倉製作所
宇宙システム第二部 勤務
2006年 修士課程修了
国立東京学芸大学附属高等学校 出身
鈴木 美紀子さん
鈴木 美紀子さん
トヨタ自動車株式会社
計測技術部 設備計画室 勤務
2006年 修士課程修了
福島県立福島女子高等学校
(現:福島県立橘高等学校)出身
福田 芽衣さん
福田 芽衣さん
学部3年
(堀切川・柴田/山口(健)研究室)
埼玉県立浦和第一女子高等学校 出身
阿部 結奈さん
阿部 結奈さん
学部3年
(西澤・梶研究室)
宮城県仙台第二高等学校 出身
和田 久佳さん
和田 久佳さん
学部4年
(小菅・衣川・王研究室/平田研究室)
栃木県立宇都宮女子高等学校 出身

※所属・学年は取材時(2014年3月)のものです。